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2006年9月30日 (土)

世界がもし100人の村だったら 子ども編

池田香代子文 山内マスミ絵 マガジンハウス100

発刊年 2006年 1000円

世界がもし・・・シリーズの第4弾 ちょうど私がこのブログを立ち上げる時に出会った本です。

世界の子どもの数の割合で言えば豊かな国に住む子どもは少数派。

貧困・戦争への巻き込まれ・病気・・・世界にいる大多数の子どもたちはこれらのことの被害を受けています。

名前のない子、戸籍のない子も多く、また生まれても性別によっては殺されてしまう子も。

そんないろんな『世界がもし100人の村だったら 子ども編』が書かれています。

狭い日本だけを観ているのではなく、世界を観て欲しい。世界中の子どもたちみんなを助けることはできなくても何か出来ることはないだろうか・・・と考えさせられる一冊です。

またいろんな国の子どもたちの写真も載っています。

本著のカメラマンの田沼氏は、貧困に苦しみながらも笑顔で遊んでいる子ども、自然とともに生きる子どもの表情の方が日本の子どもたちより楽しそうと言っておられます。

“美しい国 日本”なんて言葉に私はだまされたりしません。

表面的な問題を解決する前に、日本をむしばんでいるさまざまな問題を片付けていかないとこの国はどうなるか分かりません。

子どもが安心して遊べない社会は誰が作ったのですか?

車は危険といいながら、経済優先で車社会どっぷりなこと、子どもや弱い人の目線にたって道を作っていないこと。

急増する性犯罪、といいながら異常な性衝動を助長するテレビ・ビデオ。そして子どもを育てる親自身にもそれを本当に“悪”だとは思っていない事実。

ひきこもり・・・本当に皆で減らそうと思っているでしょうか?引きこもりの世話をする母親たちの負担を少しでも減らしてあげたことがあるのでしょうか。多くのひきこもりの人の母親は歳を取ってきています。

少子化・・・本当に子どもが育てやすい国ですか?父親自身が働くスタイルや生き方について考え方を変えないと子どもは産めません。そして会社が社会がそれを認めてくれないといけないのです。

いつか子どもたちに本当の笑顔が戻ることを祈っています。

世界のつらい状況にある子どもたちが辛い中にも逆境に負けず、たくさんの笑顔で明日を信じて生きて行ってくれる事を祈っています。

子どもが、子ども時代をうばわれることは

人類が生きのびるのに欠かせない

しあわせの記憶が、うばわれることです。 

人類が、子どもを失うことは、

人類がそなているはずの

内なる子どもの輝きを失うことです。

(本著より抜粋)

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2006年9月28日 (木)

本と親しもう①

小さな赤ちゃんから幼児・小学生まで、みんながみんな絵本好きではないと思います。

でもね、絵本伝道師・イブかなことしては出来るだけたくさんの子どもたちに素敵な絵本を読んでもらってもらいたい・・・。そんなこんなで、私の少ない経験上からのお話を少しさせてもらいます。

・お母さんが楽しい絵本・・・それが子どもにも楽しい絵本です

キャラクター絵本の話の時にもいいましたが、やっぱり質の悪い絵本は親も読んでいても楽しくありません。読んであげている親がドキドキしたり心配したり笑ったり時には泣いたり。

そんな絵本を読んであげてください。

そして心穏やかに読んでください。

悲しい時に人は泣く・・・、感動したときにも人は泣く、読んでいる親が本を読んで泣く姿を見せることもとってもいいことなんですよ。そういう時に泣くんだ・・・と子どもは傍で感じ、感情豊かな人間に成長するでしょう。

・なにかのきっかけを与えてあげてください

お話好きな子には物語っぽいものを、動物好きなら動物が載っているものを、電車好きには電車。

子どももお気に入りを見つけることが、絵本大好きのきっかけになるかもしれません。

・小さな赤ちゃんには根気よく続けること

2歳までの小さな赤ちゃんにとって絵本を読むことに集中できないことはあたりまえ。私自身、子どもが小さい時、しょっちゅうまだ読み終えてないのにページをめくられていました。そんな彼女も今は4歳、ちゃんとじっくり聞けるようになりました。

お母さんは大変だけど、根気良く、何度ぷいっと行ってしまっても、機会をみては本を読んであげてください。根気よく続けることが、子どもに集中力をつけさせることができるのでは?

・幼稚園でも読んでもらっているけど、小学生になって自分で読めるけど?

幼稚園などでみんなで読んでもらうのと、お母さんのおひざで読んでもらうのは、まったく違います。

体のあたたかさ、すべてをつつみこむようなやさしい声で優しい気持ちになれる本を読んでもらう。それは子どもにとってかけがえのない宝物になるはずです。

・図鑑ものは・・・

年中さんぐらいになって、恐竜好き、虫好き・・・なお子さんには図鑑もまた本好きへのアプローチ。

でもただそれを見せるだけでなく、“どんな恐竜だったのかな~”“この虫はどこに住んでいるの?”と親子の会話をすれば、絵本とはまた違った意味でのコミュニケーションが活発になりますね。

また、色々機会をみてお話させてくださいね。今日はこのあたりで。

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2006年9月26日 (火)

こんとあき

林明子作 福音館書店 Photo_22

発刊年 1989年 1365円

“はじめてのおつかい”“あさえとちいさいいもうと”“いもうとのにゅういん”の絵を描かれている林明子さんの作品です。

文句なしに、子どもはこの本が大好き  『こんとあき読んで~』どこからともなく本を持ってきます。

冒険、大切なぬいぐるみ、色々なハプニング、海、おばあちゃん・・・どれも子どもが大好きなもの

さて、お話は 『こん』という名前のぬいぐるみが赤ちゃんのお守りをするために砂丘町からやってくるところからはじまります。

こんは一目見たときからあきちゃんという名の赤ちゃんが大好きになりました。

よだれをこぼされても、ひこずられても、こんとあきはいつも一緒。

とうとう腕がちぎれてしまってこんは砂丘町のおばあちゃんのところに腕を治してもらいに出かけます。

まって~わたしも行く! とあきちゃんもついていきます。

小さな女の子とぬいぐるみの珍道中。切符を買ってお弁当を買って、そんなことは全部こんがやってくれます。“あきちゃん大丈夫だよ”色々引っ張って導いてくれるこん 本当に頼りになるお守りです。がんばれ、こん!

駅について“どうしても砂丘をみてみたい”というあきのために二人は砂丘に行きます。

そこでこんが犬にさらわれて、あきは必死で探します。

ここでようやくあきがこんを助ける・・立場が逆転します。

大切なものを助ける、という一つ大きな階段を上ります。

最初は寝ていてあやしてもらうだけのあきちゃんがこんを助ける、一生懸命走って、走ってこんを探し、こんを見つけ、こんをおぶって家に向かう。がんばれあきちゃん!

あきにおぶわれてもこんは小さな声でいいます  

だいじょうぶ だいじょうぶ

でも、ずーっとそばにいてあきを守っているこん・・・その存在があったかく、この本を読む人すべてにその大切な気持ちは伝わるでしょう。

だいじょうぶ、という言葉はきっと魔法の呪文かもしれません。その言葉を言ってくれる人がそばにいること・・・とてもすばらしいことです。

最後に出てくるおばあちゃんはこれまたとてもやさしくあったかそうで、日本のおばあちゃん、という感じです。

なんでも林明子さんのおばあちゃんは鳥取(砂丘があるのはご存知ですよね)に住んでおられたらしく、きっとこの絵に出てくるおばあちゃんは本当のおばあちゃんなのかもしれません。

コケテッィシュで必ずあきを守ってくれるぬいぐるみのこん、冒険が大好きな女の子あき、その二人の楽しい旅の光景が林明子さんのやさしい、きれいな絵に描かれています。

読んでいる大人も幸せになれる一冊。子どもの頃に大切にしていたものを思い出すかもしれませんね。

そしてつぎのつぎのひ、こんとあきは、うちへかえりました。よかった!

最後は一件落着です、ハッピーエンドが気持ちいいですね。

おまけで表表紙と裏表紙にはこんのぬいぐるみを作る型紙もついています。いつか作らないと!!

読んであげる目安 3歳から

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2006年9月23日 (土)

てん

ピーター・レイノルズ作 谷川俊太郎訳 あすなろ書房Photo_21

発刊年2004年 1365円

お絵描きの時間 苦手で何も画用紙にかけないワシテ どこにでもいそうな女の子です。

そこで先生にちっぽけな点を描いてみるように言われた。

そして『ねえ、サインして』

次の日、その点だけの絵はきれいな額縁に入れられて教室に飾ってあった。

もっといろんな点が描けるわ・・・とたくさんの点を描き始めるワシテ。

たくさんの種類のてんが、たくさんの色のてんをワシテは描き続ける。どんどんどんどん膨らむ想像力。。

子どもの持っている力を伸ばすとき、先生がどう導いてくれるかが影響しますね。

“ちゃんと描きなさい・・こう描きなさい”と命令口調で言うより“それって~~だよね”“こうやってみたら?”と問いかけや提案をしてみる。

教える・教えられるという関係ではなく、きちんとお話できる関係が好ましいですね。

そして、親子の関係も、きちんとお話できる。子どもが必要としているときに必要な言葉をかけてあげる。

この絵本でお絵描きがちょっと苦手だったあるお友達の子が絵描きをするのが好きになりました。たくさんの点、豊かな色合いの絵本です。訳は谷川先生ですが、先生の台詞、ワシテの台詞、とてもいい味を出しています。

すごく苦手なことをあるちょっとしたきっかけで克服できることは、子どもにとってはすごく幸せなこと。でもあえて子どもが不得意であることは苦手じゃなくて、まだドアを開いていないだけ・・・といいたい。

親が思っているより子どもの可能性というのははてしないもので・・・今こういう状況だからきっとこうに違いないと親が決め付けてしまうと、それがかえって子どもの可能性をせばめてしまうそうです。苦手なことを克服ではなく、新しく得意なものを見つける力が子どもには隠されているのです。そしてそれをほんのちょっとしたきっかけを与えてあげられるのはまわりにいる友達かもしれないし大人かもしれません。

子どもの未来を信じてあげましょう。

読んであげる目安 3歳から

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2006年9月20日 (水)

おやつ絵本はいい?悪い?

絵本って読んであげたいけど、どんな風にしたら絵本好きになるのかな?・・どんな絵本を読んであげたらいいの?などなど、素朴な質問についてお答えするコーナーを作りました。どうぞよろしくお願いします。

さて、今回のトピックスはおやつ絵本

おやつ絵本ってなんですか?おやつが載ってる絵本?いえいえ違います。

正統派<福音館>などから出ている絵本ではなく、一般的に本屋さんで一番目に付くところに置かれている、キャラクターが載っている絵本やアニメのような絵の絵本。

どこのお宅にも1冊はあると思いますヨ。(うちにもあります)

これらの本は子どもがまず本屋に行った時みつけるのが早いっ!どうしても買って欲しいと言って聞かない、なんてことは皆さんありますよね。

あんまりためにならなさそうだけど・・・子どもが気に入っているし買ってしまうことも多いです。で、“読んで~”と言われて読んでみても親自身あまり楽しめない絵やおはなし・・・うんざりです(少なくとも私は)

子どもにとってこれらの絵本は与えてもいいのでしょうか?それとも与えないほうが??

答えは“おやつ絵本もたまにならいい”です。

子どもにとって3度の食事が大事なようにおやつも大事な栄養源の一つだと言われています。でもおやつばかりでおなかが一杯になったらだめですよね。

絵本もそれと同じ。きちんと描かれた絵本やきちんとした日本語で書かれたおはなしは主食として大事です。でも、子どもにとってどうしても好きで好きでたまらないキャラクターが描かれた絵本をおやつとして与えることもOKだと思ってください。いろんな種類の本に触れさえることで、子どもの視野も広がりいい絵本を選ぶ目が育つかもしれません。いろんな絵本を読ませることで自分の好きな絵本を見つけることができるかもしれません。主食絵本に見向きもしない子どももキャラクター絵本がきっかけで絵本好きになるかもしれません。

あま~いプリンのようなおやつ絵本もたまには読ませてあげてください。

でも決して食べ過ぎないようにね☆

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2006年9月19日 (火)

おつきさま

やすいすえこ作 葉祥明絵 フレーベル館Photo_19

発刊年2001年 1050円

野原にあるおうちの窓から女の子が夜空をみあげていいました

どこかで だれかさんもみているかなあ きれいなきれいな おつきさま

みています みています

夜・・・静かな夜に大きなおつきさまがひとつ。野良猫は月に向かって歌を歌ったり、小鳥同士はやさしいお月様を見て仲直り、航海に出ている船長さんは自分が無事だと家族に伝えて欲しい・・・と。かかしはお月様がいてくれるから怖くない・・・と。

それぞれの人がそれぞれの想いを胸におつきさまを見ています。それぞれの想いを、願いをおつきさまはかなえてくれる・・・暖かくやさしい存在です。

文章はとてもやさしいメロディのようなラインで、画家である葉祥明氏のうつくしくきれいなお月様と風景との素敵なコラボレーションを作り上げています。

夜空にうかぶおつきさまは本当に純粋でやさしい姿をしています。そんなやさしい気持ちで毎日過ごせたらいいなぁ・・・と思います。

人びとがおつきさまを見てやさしい気持ちになれたら・・・争いごとや悲しい出来事は起こらないのではないでしょうか。

そんなことを考えながら月夜に読んでみてください。

読んであげる目安 3歳から

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2006年9月17日 (日)

ちびゴリラのちびちび

ルース・ボーンスタイン作 岩田みみ訳 ほるぷ出版Photo_18

発刊年 1978年 1313円

ジャングルに住む小さなチビゴリラ お母さんもお父さんもおじいさんもおばあさんもこのちびゴリラが大好きです。

他のなかまたち、蝶や蛇、象やサルだって、みんなちびゴリラが大好きです。

大好きだよ、大好きだよ、と繰り返される言葉

読んであげる人、読んでもらう人、両方とも幸せになれます。

一番身近な親に愛されている気持ちは自分が生きていくうえでの力になるそうです。自分を尊重でき自分を愛し自分を信じることが出来る人間になれるそうです。そしてそれは自分だけでなく人を愛すること、人と助け合って生きていくことにつながるそうです。

絵も落ち着いた色調の中に生き生きと描かれるジャングルの動物たち。子どもも“大好きだよ”という言葉と共に、この絵に出てくる動物にはとっても愛着を感じることと思います。

小さな子だけでなく、大きくなっても、どんな姿になっても“大好きだよ”って言ってもらえる幸せが感じられる絵本です。

大人でも、自分に自信がないとき、つらいとき、この絵本を読んで力付けられるかもしれません。

読んであげる目安 0歳から

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2006年9月15日 (金)

おつきさまこんばんは

林明子作・絵 福音館書店Photo_17

発刊年1986年 735円

たくさんの“月”を題材にした本があります。どの絵本の月もあたたかく人を照らし見守ってくれている。願い事をかなえてくれる。

実際のお月様もやさしい存在です。1番目のお月様もか細い中にもやさしさが感じられるし、まんまるお月様はほんとうに願い事を聞いてくれそうです。

日中活動する時間にお月様は見えません。でもだんだん太陽が沈みまっくらになる頃現れる月。一晩かけてゆっくり動き、また日によって形を変える。そういうことすべてをひっくるめてお月様は人と身近な存在であり、大昔から闇の夜を照らす守り神のような存在だったのでしょう。そしてそれは現代に生きる人たちにも本能的に受け継がれていることだと思うのです。

小さな子が初めてお月様を見ても“あーお月様だ”と喜んでいました。“夜”という不思議な時間に暗い空に大きく光るお月様は子どもにとってもすべてをつつみこむ存在なんでしょう。

この『おつきさまこんばんは』に出てくるお月様も、ニコニコしたり怒ったり泣いたりあっかんべーしたり、この本を通じて小さな子どもはお月様をとても身近に感じることができます。

雲に隠されて困った顔のお月様・・雲はお月様とおはなししたかっただけなのです。でも最後には雲さんも行ってしまって・・・

あーよかった おつきさまがわらってる

まんまるおつきさま、こんばんは こんばんは

そのやさしい文章は、ゆっくりと子どもを眠りへと誘います。ちょうどいい長さの文、繰り返される言葉・・・とてもいい絵本です。

林明子さんの描く濃紺の空にぼんやりうかぶやさしそうなきれいな色のお月様の絵もとても素敵です。

月様が見守ってくれているから・・・安心して眠るんだよ。

でも・・夜は寝ている赤ちゃんにお月様を見せてあげることは出来ないけれど、2歳ぐらいの子には本物のお月様をみせてあげたいな。きれいな空に光るお月様、絵本を読んであげると同時に本物を見ることもとても大事です。

読んであげる目安 0歳から

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2006年9月12日 (火)

リサのいもうと

アン・グットマン作 ゲオルグ・ハレンスレーベン絵 石津ちひろ訳Photo_16 

ブロンズ新社 発刊年2001年 1050円 

妹が生まれたちっちゃいお姉ちゃんへ・・・

リサはお母さんが妊娠してからずっと不機嫌・・・バスにだって乗り遅れるしシーソーにも乗れないし。

赤ちゃんの名前を考えた・・・女の子だったらゴミバコ 男の子だったらゴキブリ

生まれた赤ちゃんは女の子でした。名前はリラ、家族みんなは赤ちゃんにばかり気を取られてリサは不機嫌でしたが・・・“リラってリサにすごくにてるわ。とくに はななんてそっくりじゃない?”と言われてから心境に変化が。

赤ちゃんが生まれるとお母さんはもちろん赤ちゃんにつきっきり、他の家族も赤ちゃんにチヤホヤ・・・まだまだ小さいお姉ちゃんには楽しくないことばかりですね。それでもふとしたきっかけで、やっぱりお姉ちゃんと赤ちゃんは仲良くなれるものなのです。

はじめてだっこしてみて、

うーん なんていいにおいなの

ほんとに、赤ちゃんっていいにおいなんですよね。

普通のおうちに赤ちゃんが来た様子、お姉ちゃんであるリサの微妙な気持ちの変化、そして赤ちゃんってやっぱりみんなに愛されるために生まれてくるんだ・・・なんてほのぼの感じる絵本です。リサの台詞がとってもおもしろくて、“ああ、そうそう子どもってそういうこというよね~”と共感したり笑ったり。

じーっとリラをみつめるリサの目がとてもかわいい。『お姉ちゃんも赤ちゃんもみんな大好きだよ』『小さいお姉ちゃん頑張れ!』と読んでいる親も癒される一冊です。

読んであげる目安 3歳から

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2006年9月11日 (月)

悲しい本

マイケル・ローゼン作 クェンティン・ブレイク絵 谷川俊太郎訳

発刊年 2004年 あかね書房Photo_15  1470円

今日9・11は、たくさんの人たちが亡くなった日。あれから5年が経ちました。あの後、世界は暴力の連鎖の渦に巻き込まれてしまいました。

それぞれ亡くなった人には人生があり家族がある。残されたものは力強く生きている人も、まだ心の傷を負ったままの人もいるでしょう。

この本は、最愛の息子をなくした一人の男の『悲しい話』の本です。

大切な人を亡くすと心にぽっかり穴があいたよう。心が痛いのです。悲しみからはなかなか逃れることができません。でも生きている自分は生き続けなければならないのです。自分の周り・・・自分のなか・・・悲しみに占拠される男。

谷川俊太郎氏の訳文が力強く私たちに語りかけてくれます。

悲しみはどこにあるのか?いたるところにある。そいつはやってきてきみを見つける。

悲しみはいつくるのか?時を選ばない。そいつはやってきてきみを見つける。

悲しみとは何ものか?人を選ばない。そいつはやってきてきみを見つける。

悲しいことを人に話してみたり、楽しいことをやってみたり、時には怒ったり、でも悲しみの気持ちからは逃れることは出来ない男。ようやく“大切な人がいたころのことを思い出す”ことで少し悲しみから開放される。そして誕生日の蝋燭・・・蝋燭をじっと見つめながら男は何を思うのでしょう。楽しかった頃の思い出、そして今の自分、自分が抱え込んでいる悲しみとじっくり向き合う。

大切な人を失った悲しみからは簡単にのがれることはできないでしょう。一人で一生悲しみを背負うこともあるでしょう。でも・・・この本を読むと自分の持っている悲しみが少し癒されるかもしれません。

思い出が大切に思えるのはその昔皆が楽しく生きたから・・・後悔したくないのなら、毎日少しずつ少しずつ幸せの思い出を作っていくしかないように思えます。自分を大切に、家族を大切に、周りの人を大切に。人生は小さな幸せのドロップを缶に一つずつ集めていくようなもの。

暴力に対してその仕返しに暴力を使っても解決にはならない。そして犠牲になるのはふつうに生きている人がほとんどです。世界中で今も多くの人が傷つき、亡くなっている。自分の愛する人、家族、友達を亡くして悲しんでいる人がいる。

平和を祈りましょう。

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2006年9月 9日 (土)

南の島の星の砂

Cocco作 絵 河出書房新社Photo_14

発行年2002年 1575円

さんご礁に囲まれた小さな南の島でのお話。島には大きなガジュマルの木があります。人魚や他の生き物が島とその周りの海で自然とともに生きる、その日々を描いています。月・星・風・・・雨、人は木々や海の生き物は自然と共にゆるやかな時間の中で生きています。

作者であるCoccoは沖縄出身のシンガー、今は活動していないそうですが熱狂的なファンはたくさんいまでもいるそうです、そんな彼女が歌手としての活動をやめた後描いた絵本です。

うつくしい黒い画用紙に描かれた海や波や空、太陽や風や雨のあざやかな色彩と繊細なタッチがとてもすばらしい。

インドネシア・バリにアメッドという町があります。海は少し泳いだだけでさんご礁やお魚に出会える町です。私が訪れた7年前そこは電気も通じておらず、夜はごく短い時間だけ自家発電があるだけ。9時にもなると、町の電気は消えてしまいます。

満天の星空もすばらしい・・・満月の日は満月だけが光りそれもうつくしい。

波の音だけ聞こえる町。

朝太陽が昇る前から町の男たちは海に漁に出かけ、ちょうどお日様が昇るころ帰ってくる。帰ってきた男たちは出迎えた妻らしき人たちに魚を渡す、売りに行くのは女たちの仕事でした。

自然に感謝し生きる、自然と共に暮らす・・・そんな町での暮らしを垣間見ました。

日本の都会で生きるのと、そういうところで暮らすのとどちらが幸せなんだろう。

この本の舞台は沖縄でしょうが、私はアメッドを思い出してしまいました。

もちろん、自然と共に生きることは難しいことです。嵐の日もあります。そんなとき・・・なにもなくなっても人はまたやり直し生き続ける・・また自然とともに生きる、そんなメッセージも込められているのでしょうか?

雨がたくさん降って空の星は海に落ち、朝日が昇る頃砂浜に打ち上げられて星砂になりました。

そして星砂は夜が訪れる前に ふわふわと空へ舞い上がり 今日も小さな島を照らすのです

大人向け絵本としましたが、きっと子どもにもうつくしい色彩は心に何か残してくれると思います。

うつくしい海・島が世界中にまだまだあることを祈って。

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2006年9月 8日 (金)

いもうとのにゅういん

筒井頼子作 林明子絵 福音館書店Photo_13

1987年こどものとも傑作集発刊 840円

幼稚園児・あさえの妹が急に入院することになりました。付き添いにお母さんが行ってしまいお父さんしかいない夜・・・次の日手術をがんばった妹に何をお見舞いに持っていこうかと考えあさえが選んだものは・・・。

子どもがひとつずつ大人への階段を上るのってこういう瞬間なのではないでしょうか。絵本を読みながら“あさえちゃんがんばれ!”“あさえちゃん、すごい!”と、まるでわが子のように応援してしまう一冊です。

『はじめてのおつかい』『あさえとちいさいいもうと』『とんことり』などと同じ筒井&林コンビで描かれた絵本です。二人の文と絵のとても息のあったハーモニーが読み手・聞き手に感動をあたえます。

林明子さんの絵は本当に子どものふとしたしぐさ、表情を捉えています。

“そうそう、こんな格好するよね”“こんなしぐさだ”“こんな表情するわ”などなど。

特にこの本は表紙ももちろんのこと、、中表紙のあさえの後姿から裏表紙の妹のあやちゃんが“安心しきって”ベッドで寝ている姿まで、表情、目の動き、体の動き・・・どれもキラキラ輝いています。

どのシーンの絵が一番好き?と聞かれてもどれもこれもすばらしすぎて・・・なのですが、私的には特にあさえが夜中一人お父さんと一緒に寝ているベッドを抜け出して妹へのお見舞いを用意しているシーンでしょうか。

夜のチクタク時計の音がする中、折り紙(幼稚園児の定番?)を折りながらなにをお見舞いに持っていこうとあさえは一生懸命考えたんだろうな。

そして次の日、妹にお見舞いを渡し、妹はとても喜びます。だって一番お姉ちゃんが大事にしていたものだったから。

『あさえちゃん、たったひとばんで ほんとうに おおきな おねえさんになったのね』

おかあさんが、あさえのかたを、ぎゅっと だいてくれました。

生まれたばかりの赤ちゃんがひとつひとつ成長していく。幼児になり、少女になり、大人になり・・・

純粋に前向きに生きていく子どもの姿を見て大人も子どももきっと勇気付けられる、そんな一冊です。

ちなみに林明子さんファンには隠れプレゼントもたくさんです。登場人物をよ~く見ると・・・どこかで見たことある人が!!お父さんとの夕食は・・・これが定番よね~などなど、お話以外にも見所はたくさんです。

最後のあさえから妹への手紙もしっかり目を通してくださいね。

読んであげる目安 3歳から・・・もちろん大人も涙してしまいますよ!

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2006年9月 6日 (水)

かみさまからのおくりもの

ひぐちみちこ作 こぐま社Photo_20

発行年1984年 1260円

2006年9月6日 たくさんの人たちが新しい赤ちゃんの誕生を喜んでいます。

世のお母さんたちも純粋に新しい命の誕生を喜んでいるだけでなく、自分の傍らにいるわが子の誕生の時のことを思い出しているのではないでしょうか。

小さな命、さっきまで自分と共にいたその命が、新しく現実の世界へ一歩を踏み出す。ああ、純粋に小さな赤ちゃんがかわいいと思う瞬間ですね。

それが・・・少しずつ大きくなるにつれて他の子どもと比べたり、“どうして×××が出来ないのかしら”と自分の思う通りにならずいらついたり、ああもっと×××が上手になってもらいたい・・・なんてね。

生まれた瞬間はただただ健やかに育ってくれることを祈っただけなのに、日々の暮らしの中ではついつい忘れてしまいがちです。

あかちゃんがうまれるとき かみさまは ひとりひとりのあかちゃんに おくりものを くださいます

かみさまからのおくりものは天使がはこんでくるのです

ほっぺのあかいあかちゃんにはこのおくりものがいい とどけておくれ

ほっぺのあかいあかちゃんへのおくりものは よくわらう でした

この本に出てくる赤ちゃんへのかみさまのおくりものは、よくわらう、ちからもち、うたがすき、よくたべる、やさしい でした。

どれもこれも、特別なものではないけれど大切なこと。神様はどんな子どもにも素敵な個性を持たせて世に送りこんでくれるのです。

いろんな子がいてみんないい。『特別な才能』なんてなくてもいい。子どものそれぞれのいいところを生かして、大切にいとおしむ、そんな気持ちを再確認させてくれる絵本です。

子育てで迷ったお母さんにぜひ読んでもらいたい絵本です。やわらかい色彩とかわいい天使と赤ちゃんの絵は子どもの心にも深く印象付けてくれるでしょう。そして、いろんなお友達がいることも分かってくれるやさしい子になってくれることを祈って。

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もうねんね 

松谷みよ子作 瀬川康男絵 童心社Photo_12

発刊年 1968年 735円

68年の初版以降、もう40年近くも愛されて読み続けられている赤ちゃんのためのファーストブック。おなじみ『いないいないばあ』と同じ松谷みよ子さんのあかちゃんの本シリーズの1冊です。

赤ちゃんでも幼児でも、うまく『ねかしつける』ことは親にとっては一大事。この絵本は本当に子どもの寝かしつけには最適な一冊です。

ねむたいよう おやすみなさい ワン

いぬもねんね ひとりでねんね

いぬやネコ、ニワトリ、そしてモモちゃんという女の子が次々と眠りについていきます。

やわらかい色彩と、繰り返されることば、それが子どもの眠りを誘います。

繰り返し、繰り返し、ですが、決して飽きさせることはなく、子どもはじーっと見ています。

絵本には繰り返される言葉が多いですが、『繰り返し』は子どもに安心感を与えるそうです。まだまだ人生の経験が浅い子どもにとって、次も同じ・次も同じ・・・と続くのは世の中が安心できるものだ、という大きな安心感につながるのです。

最後のモモちゃんは毛布と一緒にねんね。 小さい子どもは何か大切なものをしっかり握って眠ることが多いですね。

いつか一人で眠りについて欲しい。

でもいつまでも小さいわが子でいて欲しい。

そんなことを思いながらママもゆったりとした気持ちで読んでいると・・・ほら隣から静かな寝息が聞こえてきますよ。

おやすみなさい。

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2006年9月 4日 (月)

まゆとおに やまんばのむすめ まゆのおはなし

富安陽子文 降矢なな絵 福音館書店Photo_11

2004年こどものとも傑作集 840円

ちっちゃくてかわいい女の子まゆが山の中で鬼に出会います。鬼はまゆを食べちゃいたいな~と思って自分のおうちにつれて帰り、木をひろって薪にしたりお湯を沸かしたり・・。まゆは食べられるとは知らずに鬼のお手伝い・・・さてさて結末はいかに?

まゆはつのが生えている自分よりとてつもなく大きな生き物が鬼だとは知らない。鬼は怖いはず、だけどまゆにとっては怖くない。体はちっちゃくてもまゆは鬼より力持ち、だってやまんばの娘なんだもの。

鬼はこの元気でちいちゃくてかわいい女の子がやまんばの娘だとは知らない。いろいろ手伝ってくれるまゆをえらい力持ちの子だなぁ・・・なんて思いながらもやっぱり食べたい。

最後にまゆのお母さんが出てきますが、私たちがイメージするやまんば(髪の毛が逆立っていて牙が生えているような)からは程遠く、背の高いのっぽおやさしそうなお母さんです。鬼を連れてくるまゆに驚きもせず、いろいろ面倒みてあげたりご飯を食べさせてあげたり。

鬼、やまんばのむすめ、やまんば どれも世間から見れば普通の人・・・からは程遠いですが、それぞれお互いを受け入れ仲良くなっていく姿がほほえましく思えます。

外見、人種、生きてきた道が違ってもみんながお互いを認めあえたらいいですね。やまんばだ、鬼だ・・・と聞くだけで大人は『怖い』と思うでしょうが、先入観のない子どもはそんなこと思わない。大人は子どもがこの本をおもしろそうに読んでいる姿を見て何か思うところがあるのではないでしょうか。

そんな難しいしいことは考えなくても、ただただ単純に山の中を走り回るまゆや、ちょっと間抜けな鬼とのやりとりや、肝っ玉でやさしいお母さん、たくさん食べてたくさん遊ぶことが一番なんだ、みんなのびのび生きている姿が楽しそうだな~ということが読んでいる人にもお子さんにも伝わる絵本だと思います。

絵も『めっきらもっきらどおんどん』『ともだちや』シリーズを書かれた降矢さんのもので、大胆で躍動感あふれるタッチがお話をより一層おもしろくさせています。

読んであげる目安:3歳から

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2006年9月 2日 (土)

しあわせなふくろう

ホイテーマ作 チェレスチーノ・ピヤッチ絵Photo_10

おおつかゆうぞう 訳 福音館書店

1966年初版 1365円

仲良しのふくろう夫婦、なんでそんなに幸せそうなの?と近くに住むガチョウやニワトリ、クジャクは不思議に思いたずねに行きます。

ふくろうの答えは

春は・・・芽生えの美しさ

夏は・・・植物・生物の生き生きとした活動

秋は・・・実り

冬は・・・静かに森中が休息を取る

季節が移り変わるそのありさまをただのんびり眺めているだけで、ふくろう夫婦は幸せだと答えるのです。

この本に出てくるほかの動物はまるで現代社会の大人たちのよう。

お金儲けすることだけや自分が裕福になれることだけが幸せで、そのためには人を傷つけたり押しのけてもかまわない。世界の至る所で起きる戦争紛争

着飾った人のように羽をひろげてふくろうに自分をみせびらかすクジャクは、まるで着飾ることだけに夢中になった心の冷たい、または心のさびしい人のよう。

結局、動物たちはふくろうの“平凡だけど幸せな毎日”が理解できず、みんなで去って行ってしまいました。

そう・・・聞く耳を持たず戦争ばかりしている人たちのよう。

何が幸せかを決める基準は自分の中にあるから、ふくろうの生き方がすべてじゃない、と思うけれど、他の動物のように自分勝手に生きるのは、人を傷つけるのは、・・・やっぱりおかしい。

羽をひろげたクジャクの絵はギクッと私にさせます。

弱い自分の心を守るために、自分を着飾り、強がってみせることがある私。

でもね、本当は違うんだよ。弱い自分を受け入れてもいいし、わざと強がる必要はなにもない。

本当の自分の心を思い出し、何を大切か考えること。

この本を読みながらそんなことを考えました。

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